天神崎

 田辺湾の北岸から南方の海上に突き出た岬で、豊かな海岸林が覆う海岸段丘の丘陵部、丸山と呼ぶ海岸部の小さな島、平明な海食台の岩礁部から成る。海岸林には多種類の野鳥・昆虫類が、海食台には亜熱帯性の魚貝類・サンゴ・軟体動物がそれぞれ生息し、田辺周辺の人々にとって最も親しみ深い景勝地となってきた。特に新生代新第三紀新世中期の田辺群層から成る海食台は、砂岩及び砂岩・泥岩の互層を成して沖合約250mにまで達し、干潮時には無数の割れ目・入江・潮だまりが展開するなど、独特の海浜の風致景観を創り出している。熊楠が保護すべき景勝地として挙げたと伝わる天神崎は、後に日本のナショナルトラスト運動の発祥の地となり、保護運動に参加した多くの人々は熊楠の世界観・風景観を確実に継承してきた。

娘文枝によると、熊楠は天神崎に採集に出かけていたようで、「後々別荘用地として買収されるだろう」と憂えていたといいます。実際に別荘地として開発され、地元住民が反対運動をおこしました。日本のナショナルトラスト運動の先駆けの地として有名です。


南方曼陀羅の風景地
田 辺 市 : 神島鬪雞神社須佐神社伊作田稲荷神社継桜王子高原熊野神社奇絶峡龍神山天神崎
上富田町: 八上神社田中神社
白 浜 町 : 金刀比羅神社
串 本 町 : 九龍島