第6回特別企画展開催!! リニューアルしました


イベント詳細


『南方熊楠と高野山 -少年熊楠が見た高野山-』

南方熊楠にとって高野山は、生涯にわたる関心の対象の一つでした。
江戸時代の最末期に和歌山城下に生を受けた彼は、南方家の菩提寺が真言宗であることなどから、幼時より真言密教的な雰囲気に親しんでいました。それはやがて少年熊楠を、真言密教の聖地高野山に導きます。この時の見聞は、彼の心に消しがたい印象を残したようです。さらに明治26年(1893)、晩秋のロンドンでの真言僧土宜法龍(どぎほうりゅう)との出会いは、熊楠の密教に対する興味を決定的にしました。ここに始まる法龍との長きにわたる交流を通して、熊楠は自らの思想を鍛えてゆきます。それはいわゆる「南方曼陀羅」において頂点に達したと見られますが、その後も彼は高野山と真言密教に対する興味を持ち続けました。
この特別企画展「南方熊楠と高野山」は、高野山との関わりに視点を置いて熊楠を見つめ直そうとする試みです。副題に「少年熊楠が見た高野山」と掲げた通り、従来あまり顧みられなかった幼少年期の熊楠と高野山の関係にも光を当ててゆきます。
(特別展パネルより)

展示コーナー
●はじめに/奥山直司
●高野山/曽我部大剛
・高野山金剛峯寺/神田英昭
●少年熊楠が見た高野山/奥山直司
・弘法大師1050年忌金剛峯寺宝物展覧会/浜岸宏一
・漢の蔡邕筆の石経の拓本/浜岸宏一
・御廟橋辺の伝説/浜岸宏一
●土宜法龍との出会いと交流/奥山直司
●その後の熊楠と高野山のかかわり/田村義也
・土宜法龍との再会・菌類採集調査/田村義也
・水原堯栄との交流/神田英昭
●特別上映「熊楠と法龍」
龍谷大学 人間・科学・宗教オープンリサーチセンター提供
●新聞スクラップ
会期
3月20日(金)~5月10日(日)
会場
南方熊楠顕彰館 学習室(無料)
はじめに、高野山
高野山の紹介コーナーです。
空海が真言密教の修行道場として金剛峯寺を開創した高野山。聖地は今も人々の信仰を集めています。
このコーナーでは大日如来像、曼荼羅など熊楠が見たであろう真言密教の世界を疑似体験できるような展示を行います。また、世界遺産高野山を紹介するとともに、熊楠の足跡を当時撮られた写真を使って紹介します。
少年熊楠が見た高野山
熊楠が初めて高野山に登ったのは明治15年のことです。その後3回高野山に登り、高野山に関心を寄せ続けました。
このコーナーでは少年熊楠がみたであろう、地蔵院本高野大師行状図画、中国の石碑拓本、高野山の秘宝、建物を写真、レプリカ等によって紹介します。
また熊楠が書き写した弘法大師1050年忌金剛峯寺宝物展覧会の目録や熊楠が集めた高野山霊宝館の絵はがきを展示します。
土宜法龍との出会いと交流
熊楠と法龍が初めて出会ったのは、1893(明治26)年のことです。意気投合したのか、熊楠は法龍を大英博物館へ案内します。
このコーナーでは当時の大英博物館のガイドブック、熊楠が小畔を高野山に誘っている小畔宛南方書簡(新規寄贈資料)、土宜法龍の書(掛軸)、熊楠の日記などを展示します。
その後の熊楠と高野山のかかわり
一度は途切れた土宜法龍との交流。熊楠がイギリスから帰国したあと、再度書簡のやりとりが始まります。
このコーナーでは帰国後の高野山とのかかわり、すなわち、土宜法龍、水原堯栄との交流、2回に渡る高野山植物採集旅行に関する展示を行います。
金剛峯寺の大日如来像(レプリカ)、一乗院所蔵の熊楠肖像画、親王院所蔵の関係書簡、南面山高山寺の過去帳などを展示します。
また、今年2月に楠本龍仙のご子息より当館に寄贈された熊楠肖像画(油絵)も展示します。一乗院のものと見比べて下さい。
今まで龍仙の作だと思われていた戯画がありましたが、今回の企画展準備中の調査でどうやら熊楠の作ではないかと検討されている戯画が数点あります。
特別上映「熊楠と法龍」
昨年、龍谷大学の「南方熊楠と仏教展」で作成、上映されたDVDを上映します。
新聞スクラップ
熊楠が切り抜いた高野山関連の新聞記事を紹介します。
第1回高野山植物調査には小畔四郎が同行しています。現在、「南方熊楠・小畔四郎往復書簡(二)」の刊行準備をしていますが、この往復書簡(二)はちょうど植物採集の時期と重なります。会期中刊行されれば閲覧コーナーを設けます。