第15回月例展(終了)


イベント詳細


テーマは 熊楠とゆかりの地 5「奇絶峡」

南方熊楠顕彰館では、毎月テーマを決め、月例展を行っています。
今回は、熊楠とゆかりの地シリーズの第5回目として『奇絶峡』をテーマに展示を行っています。
南方熊楠は、神社合祀反対を訴えて東京帝国大学教授松村任三にあてた2通の手紙(『南方二書』)に、奇絶峡について絶景の地であり、珍しい植物があること、また地質学、考古学上も参考になる岩があると書いている。また、上秋津村の村長に川中石の保存について提起した書簡を書くなど奇絶峡の保全に関心を寄せていた。
熊楠と奇絶峡について、解説パネルや、熊楠の植物標本や書簡等をパネル等により展示しています。

展示の紹介
暗谷(クラガリダニ)中腹から望む奇絶峡

「南方二書」
神社合祀反対、植物保護を訴えて東京帝国大学教授松村任三にあてた2通(明治44年8月21日、同29日付)をこう名付けた。柳田国男は、熊楠の筆跡がわかりにくいためこれを活字印刷にし、知名の士に配布し、熊楠を援護した。
(「世界を駆けた博物学者 南方熊楠」より)

松村任三宛南方熊楠書簡第2便(明治44年8月29日付)中の奇絶峡についての記述部分
この書簡の中で、熊楠は奇絶峡について次のように書いている。
前状申上し奇絶峡とて、田辺を去ること二里斗り、耶馬溪そこのけといふ絶景の地なり。希植物多し。これも、何のわけもなく道路作るとて破壊甚しく、又石を伐り出す故地質学、考古学上の参考たるべき大足跡石など、将に亡びんとす(毛莨科の「タニモダマ」といふもの、他処に少なきが此処に多し。ホウライカヅラも此処にのみありて開花す。チヤボホトトギス、ヂヨロウホトトギス等あり。)

熊楠が奇絶峡で採取した植物の標本
オオバタネツケバナ Cardamine regeliana Miq.  <アブラナ科>
山地の渓流沿いや湿地などに生える多年草。高さは20~40cm。葉は互生し、奇数羽状複葉。頂小葉は側小葉に比べてかなり大きい。花期は3~6月。名は大葉種漬花で、タネツケバナに似るが、小葉が大きいのでこのように名付けられた。種漬花は,イネの種籾を水に漬け,苗代をつくる準備をする頃に花が咲くことによるという。国外では,朝鮮・中国・極東地方に分布。
標本を挟んでいた新聞紙には、「「三十八年四月十六日 奇絶峡 変種? おほばたねつけばな」と書かれている。

奇絶峡の紅葉と滝見橋
田辺市の中央を流れる会津川の上流にある渓谷で、春の新緑や桜、夏の涼しげな不動滝、秋には紅葉と、四季折々の渓谷美をみることができます。ユニークな形をした大小無数の奇岩がいたるところに点在しており、中でも不動(赤城)の滝のはるか上方、一枚岩に刻まれている堂本画伯の原画「磨崖大石仏」が見事です。
(田辺観光協会ホームページ(http://www.tanabe-kanko.jp/)より)

赤城の滝(不動の滝)
高尾山赤城谷を水源とし、高さ約23mの滝。滝かげには不動明王が祀られている。市民には「奇絶峡の滝」と呼ばれ、親しまれています。現在でも、白装束に身を包み滝に打たれ行をされる方もおられます。
(秋津野塾ホームページ(http://www.akizuno.net/web/)より)

磨崖三尊大石仏
大一枚岩(高さ16m・巾22m)に堂本印象画伯の原画を基に厚肉彫りの彫刻がされた。中央の阿弥陀仏は、高さ7.3m(奈良の大仏の約半分)両菩薩(観世音菩薩、勢至菩薩)4.9m。
昭和41年4月8日、田辺市、田辺市観光協会、上秋津愛郷会の発願により我が国の平和と世界平和のシンボルとして開眼する。
(秋津野塾ホームページ(http://www.akizuno.net/web/)より)
担当
浜岸宏一

開催期間 2007年11月24日(土)~12月9日(日)
開催時間 午前10:00~午後5:00(入館は午後4:30迄)
休館日(月曜日、第2,4火曜日)はご覧いただけません。
展示説明会 月例展開催中の次の日程に展示説明会を開催します。
日 程 : 12月2日(日)、8日(土)
時 間 : 午後2時~
その他 : 参加費無料、事前申し込み不要